第17話 サルガッソ〜オドアケル〜リリパット星

 
サルガッソ海に迷い込んだ宇宙船は重力場と磁気の異常のために二度と脱出できないと言われている。
周りには小型の宇宙ヨットから大型宇宙戦艦まで、さまざまな宇宙船が浮かんでいた。
宇宙服を着込み、計器が使えなくなったファルコン号を降りる。
周りに動くものは何も見えない。透視能力を使うことにした。
サルガッソ海の彼方から、小型宇宙艇の大艦隊が向かってくるのが見えた。
先頭に立つのはゲルマン人傭兵隊長オドアケルだ。
ネロに守護されている宇宙艇は、乱れた磁気も狂った重力場も無視して襲い掛かってきた。
しかし、極限までパワーアップしている俺のサイコキネシスの前では、宇宙艇など物の数ではなかった。
手下を撃破され、怒りに燃えるオドアケルが俺の前に立ちはだかる。
二メートルはあろうかという身長とワシのような鼻、そしてどう猛さをただよわせる顎ヒゲ。
目はこちらを睨みつけている。
ネロに守られている相手には、時間パワーで戦うしかない。
しかし、運命は無常にも悪に味方した。
俺は手傷を負い、脱兎のごとく逃げ出した。
 
どれくらいの時が経っただろうか。
俺は一隻の廃船の前にいた。
廃船の上には、ちょろちょろと宇宙ねずみのような生き物がうろついていた。
目を凝らすと、宇宙ねずみに見えた生き物は、十五センチほどの小さな人間だった。
藁にもすがる思いで話しかけてみる。
「ちょっとお教え願えないでしょうか。このサルガッソ海から抜け出る方法はありませんか」
「むろん入り口があったのですから出口はありますよ」と小人は答えた。
出口を教えてくれと言うと、「お教えするのは構いませんが、あなたは<黄金の十字架>はいらないのですか」
唐突な展開キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
彼らがリリパット星人であった。廃船の後ろには小さな惑星―リリパット星が見えた。
俺は、四千五百年前、アトランティスからやってきたという宇宙船から<黄金の十字架>を手に入れた。
 
リリパット星人から出口を教えてもらい、サルガッソを後にした。
オドアケルはどうなったんだろう。まあいいや。